フロントアップのウンチク

※ひとまずアップしましたが、チマチマ編集を続けるつもりです。

 

10年くらい前、どうしてもフロントアップがしてみたくて、ホーネットで夜の埠頭に繰り出してた事をふと思い出しました。

あの頃は、アクセル思いっきり開けて、体を引けばフロントは上がるもんだと思って、手にマメを作って怖い思いをしてましたが、今になって思い返してみると懐かしい。

 

どこで聞いたか忘れましたが、フロントアップもジャンプも、「普段はタイヤを地面に押し付ける為にしっかり踏み込んでいるステップの力を抜いてやると、自然とバイクは浮き上がってくるもんだ」って言葉が、今となっては一番しっくり来ます。

 

さて、タイトルにも書いた通り、皆んなが大嫌いなウンチクを語らねば。

 

ウイリーの動きを物理の視点で考ようとした時に、意識しなきゃいけないのは、

・車体の重心を軸にした、ピッチング方向のイナーシャ

・車体の重心がリアタイヤを軸に持ち上がる慣性

この2つだと思ってます。

物理の視点では、重心を軸にモノを回転させるのと、重心の場所を移動させる事には相関がなく、それぞれ別個に力を与えてやらなきゃいけません。

モノの動きの速さは、それぞれにかけた力の大きさと、力をかけている時間に比例します。

逆に、モノがある速度で動き始めると、それを止めるためには逆方向の力をかけなければいけません。これにも、力の大きさと、かけている時間が効いてきます。

 

さて、そこで考え方を切り替えます。

「フロントアップする為の力を、どうやって生み出すか」ではなく「フロントアップし始めた車体の邪魔をいかにしないか」と考えるんです。

 

まず、最初にボディアクションで、しっかりサスを縮めてあげます。(ステップを真下に踏み込む。真下に踏み込んで、前後サスの縮み方が合わないなら、踏み方を調整する)

そして、身体をその場に残して、車体だけ前に送り出す(ハンドルを引くんでなく、バイクだけを前に走らせる)と、リアサスは縮んだままフロントだけが伸びます。

この挙動って、サスだけで車体のピッチングと、重心の上方向への動きを同時に生み出してるんです。

ここまでくれば、この動きを止めない為の、最低限の力だけを与える為に、アクセルを少しだけ開けてあげれば、フロントがフワッと浮いてきます。

 

フロントサスの伸びる動きに勢いはいりません。

思いの外ゆっくりと伸びてきますが、それで一度イナーシャと慣性が付いてしまえば、それを殺さないための最小限のエンジン出力と、動きを邪魔をしないボディアクション(ハンドルにしがみつかない。引っ張らない)さえ心がければ良いのです。

 

 

フロントアップできなかった頃の自分の写真なり動画を見ていて気づくのはこの2点です。

①一生懸命フロントサスだけを縮めようとしてる

②サスの縮み方が足りない

③アクセルのタイミングが遅い

 

①昔はよく、サスを使ってフロントアップしようとした時に、一生懸命前後にバイクを揺すっていました。それだけだと、車体の重心周りの角速度は付くんですが、後輪を軸に重心を持ち上がる力は発生しないんです。最初に前後のサスを均等に縮めて、そのあとフロントだけ解放してやるのが大事です。

最初にフロントだけ縮めて、リアが縮んでないのにアクセルオンしたら、その後フロントは伸びてもリアが縮むんで、車体の重心は持ち上がらず、フロントアップの挙動に繋がりません。

もちろん、凄い勢いでアクセルオンすれば上がりますが…怖いですよ((((;゚Д゚)))))))

②については、意外と気づかないのが、サスが縮み切る前に次のアクションに移ってしまってるパターン。

ステップに荷重して、一番下で一瞬タメを作ってみると、思っていたところの少し先にストロークの限界点がある事に気づきます。ダンパーで動きが遅れるからだと思ってます。

そこまでしっかり使い切りましょう。

あと、私は背中に重りを背負ってる方がしっかりバネが使えて、フロントが上がりやすいです。体重が標準より軽い人は、そんな工夫も有効です。

③については、フロントサスが伸び始めてからアクセルを開けようとすると遅いって事です。

フロントとリアのサスをしっかり縮めたら、縮み切った所でそのままアクセルオンして、エンジンの力でバイクを前に送り出すつもりでいると、ちょうど良いです。

 

とまあ、ここまで書いておいてなんですが、こんなこと言うからウンチク屋は嫌われるんだよなー

でも、私みたいな理屈からでないと入れない人間は「バッ!チン!コーン!」とか言われても全く腑に落ちないんだから(泣